4つある取引種別のうち、今回は、「スワップ(swap)」です。オプションはずいぶんと長くなってしまいましたが、今回はそれほど長くならないと思います。
スワップは、「交換する」ことをいいます。それでは、何を交換するのかというと「キャッシュフロー」がその対象となります。具体的には次の2種類が交換の対象になります。
1. 金利(金利を交換:同じ通貨)
2. 通貨(元本を交換:異なる通貨)
先物と異なり、非定型取引となることから相対取引が基本です。
なぜ、スワップという取引が成立するかというと、簡易な手続きのみで債務を交換する効果が得られるからです。どういうことかといいますと、
A社が100万円を固定金利で借入し、B社が100万円を変動金利で借り入れたとします。通常、A社とB社がお互いの債務100万円を交換しようとすると、契約書を取り交わし金融機関に対し信用があることを証明して・・・と手続きがかなり煩雑になります。
一方、スワップ取引をした場合は、このような手続きは不要となり、お互いの金利を交換して負担するだけとなるため、手続きはずっと楽になります。これを「金利スワップ」といいます。
そもそもスワップ取引は、1981年にIBMが世界銀行との間で行った、ソロモン・ブラザーズのアレンジした「通貨スワップ」になります。一方、クレディ・スイスとメリル・リンチがアレンジし、ドイツ銀行が行ったものが最初の「金利スワップ」といわれています。ちなみに、スワップ取引の中でもシンプルなもののことを「プレーン・バニラ・スワップ」といいます。アイスクリームの中でもバニラ・アイスのようにプレーン(シンプル)なもの、という意味のようです。
さて、先ほどのIBM・世界銀行の「通貨スワップ」を例にとると、IBMは当時、米国内では知名度もあり米ドルでの資金調達は容易であったものの、ヨーロッパでの知名度は低かったことから、スイスフランを世界銀行に調達してもらう一方で、自らは米ドルを調達し、交換することで、お互いの資金調達コストの低減を実現させたといわれています。
通貨スワップは、1970年代にイギリスで行われた「パラレル・ローン」が原型といわれています。パラレル・ローンは、日本にあるA社が子会社を米国に持ち、米国にあるB社が子会社を日本に持っている場合に、A社とB社が自国通貨で借入をし、A社はB社子会社に、B社はA社子会社に各々融資するというものです。
一方、「金利スワップ」ですが、こちらも資金調達コストの低減という目的は同じになります。たとえば、信用の低いB社が固定金利で資金調達をしたいものの、信用力の関係上変動金利でしか資金調達できない場合、信用のあるA社(長期的な資金調達に優位性があり、固定金利で資金調達できるものの変動金利で資金調達したい)と金利スワップ契約を行うことで、お互いに資金調達コストの低減を図る・・・といったことができるようです。
短期標準スワップ・レートとして主に使われるのは、LIBOR(London Inter-Bank Offered Rate:ライボー:ロンドン銀行間貸し手金利)と呼ばれ、ロンドン市場において信用の異なる銀行が提示する金利の平均値をいいます。信用の高い企業はLIBORよりも低い金利で資金調達ができます。(ただし、ヨーロッパではEURIBOR、日本円の場合はTIBORも使われます。)
デリバティブの中では歴史の浅いスワップですが、通貨間や固定・変動の金利間のギャップを埋めたという点でその功績は大きく、重要な取引として活用されています。
結局、少々長くなってしまいましたが、次回は、やっとデリバティブの応用・発展編です。
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