社債・株式

普通社債、普通株式とは?

今回は、デリバティブから一旦離れ(オプションが残っていますが)、普通社債・普通株式について整理してみます。一応、後々、デリバティブとも繋がる予定です。

社債や株式を発行した後、有価証券報告書などでの記載を見ると「普通社債」や「普通株式」といった表記がされます。
不思議なもので、「何が『普通』なのか?」という気がしてしまいます。(逆に、「何が『普通』じゃないのか?」ということなのですが・・・。

この場合、「特別な設定をしていない」ということをもって「普通」と表現しています。普通社債の英語表記は「Straight Bond」ですので「直債」とベタベタな訳も考えられたのかもしれませんが、「何も仕込まれていません」「特に変わった(?)ものがないですよ」という程度のものになるかと思います。

このため、株式の場合ですと「普通株式」は「特に変わったものがない株式」、翻って、配当請求権、残余財産分配権、議決権、株主提案権等々の権利を有していますよ~ということになります。

ところで、株式の場合は「単元株式制度」というのがありまして「単元株式数に満たない場合には、議決権がない(法的な初期設定として)」や、定款での規定によって「代表訴訟提起権等」を排除することができます。このため、たとえ「普通株式」といったとしても社債とは異なり、定款の規定によって何か独自設定がなされていないかを確認しておくことが必要になる場合もあります。

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~メザニン~ 野村の社債発行を受けて

新聞などで、野村ホールディングスが社債と転換社債型新株予約権付社債を発行する旨が報道されたため、例によってEDINETでチェックしてみると平成20年12月1日付けで、有価証券届出書と発行登録書を提出したことが確認できました。

その際、「劣後特約」という文言が両社債に見られ、劣後債と共に優先株を思い出しました。これらを「メザニン(Mezzanine)」と呼んでいたのでセットで覚えていたのです。

それでは「メザニン」を整理してみると、語源は「中二階」という言葉だそうです。「ミドル」でよいぢゃないか!という説もあるようですが、厳密に区分できない「曖昧さ」を言葉として含有させたい意図が個人的に感じられます。

メザニンですが、債券担保証券(CBO:Collateralized Bond Obligation)を例に考えると少々理解しやすいかもしれません。債券担保証券は、複数の社債を裏づけ資産として発行されるのですが、格付けの高低を作り分けることによって投資家のニーズにあった設計ができるようになります。その際、3段階に分類し、高格付けのものをシニア債、低格付けのものをジュニア債、中間をメザニン債と呼ぶようです。「格付けが高い=リスクが低い=リターンが低い」になるかと思いますが、必ずしも高格付けのみニーズがあるわけではない(ポートフォリオを組む上で)ので、投資家にとって有用ということです。

翻って、株式会社のB/S上の貸方で、負債・純資産をリスク・リターンでみると、デフォルト時、債権者は株主に優先して弁済を受けることから、負債の部の方がローリスク(=シニア)、純資産(株式)の方がハイリスク(=ジュニア)といえます。だいぶ昔ですと「配当率」などという概念があって、株主は5%の配当を受領できた(確か株式の額面に対して)ため、社債の利率と比較しやすい部分もあったのでしょうが・・・。

そうすると、負債(シニア)の中ではリスクの高い「劣後債」や純資産(ジュニア)の中ではリスクの低い「優先株」がそれぞれ「メザニン」ですね・・・となるということです。でも、線引きをしてしまうと負債はあくまで2階部分で、純資産はあくまで1階になってしまうので、曖昧な「中2階」という言葉が使われることとなったと推定されます。個人的には言い得て妙と思います。

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三洋の株式とは

前回、三洋電機の株式について整理するつもりだったので、今回、取り上げたいと思います。三洋は、普通株式と別に、A種優先株式とB種優先株式の2種類の優先株式を発行しています。これは同社の定款を見るとわかります。

さて、定款だけを見ても分からないことがあります。それは、報道された「すべての優先株式をパナソニックが取得し普通株式へ転換すると発行済株式総数の7割を掌握する」という点です。というのも、定款に記載されているのは「発行可能株式総数(いわゆる「授権資本枠」)」であり、具体的な発行済株式総数がわかるわけではないのです。

そこで、今度は有価証券報告書を見ます。定款は東京証券取引所のWEBサイトを見ましたが、有価証券報告書は金融庁のEDINETになります。すると、三洋の提出した最新情報で普通株と優先株転換後のロジックが見えてきます。雑駁な説明ですが、優先株は2種類あるものの両方とも「転換請求権」が附されていて、優先株1株を転換すると普通株10株になります。この結果、現在ある普通株1,872百万株に、転換された優先株4,285百万株が加わり、その結果普通株の発行数が6,158百万株となります。優先株を普通株に転換した場合の持株比率は69.59%になるわけです。

いちおう、優先株を整理した表を作成してみたので貼り付けてみました。PDFになります。>ファイルをダウンロード

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社債は社債だけど・・・新株予約権付社債の整理?

 一時期、MSCBなるものをライブドアが発行し、今となっては破綻してしまったリーマンブラザーズ証券が引き受けたことがありました。その資金はニッポン放送の買占め資金に充当されたやに記憶しています。

 MSCBのみならず、新株予約権付社債は時代時代によって名前が変わっていまして、頭の整理をしようかという気になりました。

「転換社債」:株式に転換する権利が付随した社債。株式転換権は社債と一体不可分となっていることが特徴。英語でConvertible Bond(コンバーチブル・ボンド)、略してCB(シービー)と呼ばれます。転換社債は、転換行使請求をすると、額面価格を行使価格で割り返した株数を取得できる仕組みになっています。つまり、株式を取得する際には、転換社債に拠出した金額の範囲内で株式を取得し、新たな払い込みが発生しないといことになります。

「新株引受権付社債・ワラント債」:株式を買付ける権利(新株引受権)の付いた社債。新株引受権は英語でWarrant(ワラント)とも呼ばれます。転換社債とは異なり、ワラント部分は新株を引き受ける権利しかないので、株式を引き受ける際には新たに払い込みが必要とされます。また株式取得後は、手元に社債部分が残るということがあったようです。また、分離型ワラント債と非分離型ワラント債が存在しており、分離型の場合は各々が流通していたようです。

「新株予約権付社債」:2002年の商法改正により、転換社債と非分離型ワラント債は一括して新株予約権付社債へ整理統合されました。なお、分離型ワラント債は新株予約権と社債を同時募集するという風に整理したようです。

「MSCB」:通常、CBは新株予約権の行使価格を現行株価よりも高めに設定します。つまり「今後株価が上昇するので、その際よければ株式に転換してください」という使い方をします。一方、MSCBは「転換価格修正条項付」のCBと呼ばれますが、この「転換価格修正条項付」がミソで、実は転換価格を「下方」修正できるという代物になります。MSCBは、Moving Strike Convertible Bond(ムービン・ストライク・コンバーチブル・ボンド)の略ですが、日本語でもあまりに名称が長いため「MSCB」が定着したということでしょう。転換価格を下方修正する条項(条件)の付いたCBということは、「株価が下がることもあるから修正する」と暗に言っているようなもので、普通のCBよりもハイリスクだといえます。

余談ですが、普通社債は「SB(Straight Bondの略;ストレート・ボンド)」と呼ばれることもあり、個人的には「ストレート」とする英語的発想が少々不思議です。また、MSCBと組み合わせると、野球のピッチャーの球種みたいで独りニヤリとしてしまいます。また、現行の法制度で発行するCBは「転換社債型新株予約権付社債」が正しい名称です。こちらについては、個人的に早口言葉と認知し、日夜いかに速く言えるか早口鍛練のネタとしています。(すみません、ウソです。)

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